今回で3回目の参加となる株式投資サマーセミナー2026では、東海地区を地場とする3社の企業説明会と、櫻井英明氏による「株式透視論」の講演が行われました。
各社の事業内容・財務状況・成長テーマを確認しつつ、月足チャートやイノベーション要素を踏まえて投資判断を行いました。
矢作建設工業
矢作建設工業株式会社は、名鉄グループと強い連携を持つ東海地場の建設会社で、創業以来一貫して東海圏に根ざした事業展開を続けています。
同社の特徴は「設計施工一貫体制」を80%以上で実現している点で、一般的なゼネコンが施工中心であるのに対し、企画・設計から施工までを一貫して担う体制が高い競争力につながっています。
また、2013年以降は耐震補強から建築・土木・不動産へと事業領域を広げ、独自工法であるパンウォール工法など技術面でも特色を持っています。
業績面では、2027年3月期は減収減益予想となっており、昨年度の過去最高益からの反動が出ています。
一方で、2030年に向けてコア事業の拡大を掲げており、中長期では再開発需要を取り込む可能性があります。
財務面では研究開発費が縮小傾向、有利子負債が増加傾向にあり、成長投資よりも安定運営を重視する成熟企業の姿がうかがえます。
株主還元は積極的で、2027年はDOE6.1%、配当性向51%と高水準です。名鉄関連の工事が10%を占めるなど、地域密着型の安定企業としての強みが際立ちます。
投資判断としては、月足チャートが上昇トレンドにあり、すでに評価されている株価帯に入っているため、今回は買いを見送りました。安定性は高いものの、値幅妙味が限定的であると判断しています。
⚙️ 大同メタル工業
大同メタル工業株式会社は、世界的にも珍しい「軸受メタル専業メーカー」であり、自動車・船舶向けのすべり軸受で高い世界シェアを誇ります。
自動車用軸受では世界シェア39%、船舶用低速エンジンでは66%と、同社の技術力は世界的にも高く評価されています。
すべり軸受ひと筋で培った独自技術が最大の強みであり、長年にわたりグローバル市場で存在感を示しています。
事業構造としては、船舶事業が好調で売上の約13.8%を占める一方、主力のパワートレイン事業は縮小傾向にあります。
これを補う形で、ヨーロッパでの空調事業や、データセンター向け中高速エンジン用軸受の展開が進んでいます。非常用発電や分散電源の需要増加により、
中高速エンジン向け軸受は2030年に向けて大きな成長が見込まれています。
また、中国・米国での需要伸長、メキシコでの新工場増設など、グローバル展開も積極的です。
研究開発費は増加傾向、有利子負債も増加傾向にあり、成長投資を進めるフェーズにある企業と言えます。
投資判断としては、月足チャートが右肩上がりで再評価が進んでいるため、押し目待ちとしました。データセンター向け軸受など成長テーマは魅力的ですが、株価が織り込み始めている点を重視し、今回は買いを見送りました。
マルサンアイ
マルサンアイ株式会社は、大豆食品加工メーカーとして、豆乳・みそ・豆乳グルトを主力とする企業です。
研究開発費は増加傾向、有利子負債は横ばいで、成長投資を進めつつ財務の安定性も維持しています。
豆乳事業は2000年代初頭のBSE問題を契機に市場が活性化し、その後は健康志向の高まりを背景に長期的な成長を続けています。
無調整豆乳の需要拡大や、植物性食品を選ぶ消費者の増加が追い風となっています。
みそ事業は縮小傾向にあり、品質改善の取り組みは続けつつも、経営資源は豆乳へ集中しています。
豆乳グルトなど発酵技術を活かした製品開発も進んでおり、健康志向の高まりとともに市場拡大が期待されます。
プラントベースフード需要の高まりは、豆乳市場にとって構造的な追い風であり、同社の成長性を支える重要な要素です。
投資判断としては、横ばい相場が続いており、需給の歪みが出れば動く可能性がある面白い銘柄ですが、イノベーション的要素が少なく、成長の加速材料が不足しているため、今回は買いを見送りました。
櫻井英明氏「株式透視論」要約
櫻井英明氏の講演「個別銘柄動向から読む株式透視論」は、株式市場を“物語”として捉える独自の視点が印象的でした。
氏は「株式市場は物語であり、物語は面白くなければならない」と述べ、投資家が惹きつけられるテーマやストーリーが株価を動かすという考え方を強調しました。
市場が動く背景には、投資家の感情や期待が大きく影響しており、数字だけでは読み解けない“物語性”が重要であると語りました。
講演では、2026年の市場環境についても言及がありました。トランプ大統領のビットコインへの関心、TOPIX4500ポイントの可能性、そして「EPS4000円×PER20倍=80,000円(日経225)は現実的」という見解など、企業収益の改善と市場評価の拡大が続く可能性を示しました。
大型株比重の高まりや、VIX低下とともにVIXEQが高まっている点など、ボラティリティと需給の関係についても解説がありました。
個人投資家の存在感については、2024年に延べ9000万人を超え、実人数で2000万人規模に達していることが紹介されました。
個人投資家の増加は市場の流動性を高め、テーマ株や中小型株が動きやすい環境を作り出しています。
さらに、AI・フィジカルAI・海底ケーブル・宇宙産業など、今後の成長産業についても具体的な言及がありました。
特にフィジカルAIは日本に優位性があるとし、NECの海底ケーブル補修技術や宇宙産業の発展可能性を挙げました。
コンテンツ産業については「ゲーム数だけではなくキャラクター」と述べ、IPの価値が市場を左右することを強調しています。
技術トレンドについては、ペロブスカイト太陽電池よりも「カーテンのようなタイプがいい」という独自の視点や、HDDやニデックの株価下落について「技術はしっかりしている」と評価するなど、企業の技術力を重視する姿勢が見られました。
医薬品分野では、AD創薬、エーザイ、第一三共、中外製薬などを例に挙げ、長期的な研究開発が企業価値を大きく押し上げることを示しました。
最後に、氏は「相場に必要な中学高校の勉強」として、国語・美術・音楽を挙げました。
国語は感性を磨くため、美術・音楽は本物の価値と本質を見極める力を養うために重要であると述べ、投資家に必要なのは数字だけではなく“感性”であると締めくくりました。
次回は、8月25日(火)に参加予定です。
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